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歯医者のクリーニングとは?種類や費用を分かりやすく解説!【歯科医師監修】

【この記事の監修歯科医師】

神奈川歯科大学卒業。
公益社団法人 日本口腔外科学会 認定医。
「再治療のない、丁寧な治療」をモットーに日々情熱を注いでいます。
歯科のお悩みならなんでもご相談ください。
「歯医者のクリーニングに種類はあるの?実際いくらかかるの?」そう思ったことはありませんか?歯のクリーニングは、保険適用と自費診療で料金や内容が大きく異なります。
安く済ませたいけど、しっかりケアもしたい…。そんなあなたの疑問を解決するために、相場や違いを分かりやすく解説します。
知らないと損するポイントも紹介するので、この記事を読んで自分に合ったクリーニングを選びましょう!
歯のクリーニングとは?
歯科医院で行う歯のクリーニングとは、歯周病の治療もしくは専門的な歯の清掃を指します。
普段の歯磨きでは落としきれない歯垢(プラーク)や歯石、着色を取り除き、口腔内を健康に保つことを目的としています。
歯のクリーニングの重要性は、大きく分けて4つあります。
1.虫歯予防
歯垢が長時間歯に付着すると、虫歯の原因となる細菌が増殖します。
定期的なクリーニングを受けることで、虫歯のリスクを大幅に減らすことができます。
2.歯周病予防
歯周病は、歯肉の炎症から始まり、放置すると歯を支える骨が溶けてしまう病気です。
歯石が歯肉の境目に溜まると歯周病の原因となりますが、クリーニングによって除去することで歯周病の進行を防げます。
3.口臭対策
口臭の原因の多くは、口腔内に残った食べかす、細菌の繁殖、歯周病や歯石によるものです。
これらを定期的なクリーニングで取り除くことで、口臭を抑えることができます。
4.歯の白さを保つ
日常的にコーヒーや紅茶、タバコなどを摂取することで歯に着色汚れがつきやすくなります。
クリーニングによって、これらの着色を除去し、自然な歯の白さを取り戻すことができます。
歯のクリーニングの種類
1.スケーリング
スケーリングは、歯に付着した歯ぐきの上の歯石や歯垢を専用の器具を使って取り除く処置です。
手用スケーラーや超音波スケーラーを用いることで、歯と歯茎の間の歯石までしっかりと除去できます。
2.SRP(スケーリング・ルートプレーニング)
SRPは、歯に付着した歯ぐきの下の歯石をとり歯の根の表面を滑らかにすることで、細菌の付着を防ぎ、歯茎の再付着を促す処置です。
プラーク(歯垢)が歯と歯茎の境目や歯の根の表面に付着すると、歯周病を引き起こします。
SRPは、これらの汚れを取り除き、歯周病の進行を防ぐために行われます。
歯石や歯ぐきの状態によっては痛みや不快感を伴う場合があります。
その場合は、麻酔を使用するなどして痛みを軽減することも可能です。
3.PMTC(プロフェッショナル・メカニカル・トゥース・クリーニング)
PMTCは、専用の器具と研磨剤を使って歯の表面を磨く方法です。
バイオフィルム(細菌の膜)を除去し、歯のツルツルとした感触を取り戻すことができます。
歯の表面を滑らかにすることで新たな汚れが付着しにくくなり歯周病悪化や着色の再付着予防に有効です。
4.エアフロー
エアフローは、細かいパウダーをジェット噴射することで、歯の表面の着色汚れを落とす方法です。
タバコのヤニや茶渋などの着色汚れに特に効果的です。
保険のクリーニングと自費のクリーニングの違い
歯のクリーニングには、健康保険が適用されるものと、自費で受けるものがあります。
それぞれの特徴や違いを理解することが大切です。
1.保険適用のクリーニング
保険適用のクリーニングは、主に「歯周病の治療」を目的として行われます。そのため、以下のような制限があります。
対象者:歯周病の診断が必要であり、予防目的、審美目的では受けられません。
内容:歯周病の治療に伴う歯石や歯ぐきの炎症を治療する目的でのスケーリングやSRPが中心で、研磨や着色除去などの施術は基本的に含まれません。
費用:健康保険が適用されるため、自己負担額は比較的安価(数千円程度)。
回数制限:治療行為が決められているため、それに則った回数、期間に来院する必要があり、自分で選択することはできません。
軽度の歯肉炎であれば、1回〜2回程度。
中程度、重度の歯周病の場合は、3回以上かかります。
重度の場合、外科処置などに及ぶ場合があるため、回数が多くなります。
2.自費のクリーニング
自費のクリーニングは、予防や審美目的で行われるため、より高度なケアが受けられます。
対象者:歯周病の有無に関わらず、誰でも受けられます。
内容:PMTCやエアフローなどを用いて、歯の研磨や着色除去を行います。フッ素塗布や仕上げのコーティング、歯ぐきのマッサージ、インプラント部分のクリーニングや歯科矯正中のクリーニングも可能です。各病院で内容が異なるため確認が必要です。
費用:自費診療のため、保険適用のものより高額(1万円以上)になることもあります。
回数制限:特に制限はなく、必要に応じて自由に受けられます。
3.どちらを選ぶべきか?
歯周病治療が必要な方は、まず保険適用のクリーニングを受け、歯石をしっかり取り除きましょう。
一方、歯の美しさや健康維持を重視する方は、自費のクリーニングを定期的に受けることで、より高い効果が期待できます。
良いクリーニングを受けられる歯医者を選ぶには、以下のポイントをチェックすると安心です。
4.現役歯科医師が選ぶ!良いクリーニングを受けられる歯医者の選び方
予防歯科、歯周病治療に力を入れているか
- 「予防歯科」、「歯周病治療」、「歯のメンテナンス」に力を入れている歯科医院を選ぶ
- 定期検診やクリーニングのプランが充実しているか確認
- 口の中の継続的な管理をしてくれるか確認
- 歯周病認定医在籍や歯周病セミナー受講など歯周病に関する知識をアップデートしているか
初診時のカウンセリングや診断がしっかりしているか
- 口の中の状態を確認するための検査(レントゲン、口腔内写真、歯周病検査)やチェックをし、口の中の状態をしっかりと説明して、適切なクリーニングプランを提案してくれるか
- クリーニングだけでなく、歯周病や虫歯、被せ物の状態など口の中の全体的なチェックも丁寧に行ってくれるか
クリーニングの内容や機器の充実度
- 超音波スケーラー、エアフロー(細かい汚れや着色を除去する機械)があるか
- 保険診療・自費診療のクリーニングの違いを説明してくれるか
- クリーニングの流れや所要時間を明確にしてくれるか
衛生管理が徹底されているか
- 院内が清潔で、器具の滅菌処理がしっかりされているか
- 使い捨ての器具(グローブや紙コップなど)を適切に使用しているか
施術が丁寧で痛みに配慮してくれるか
- 歯科衛生士や歯科医師が優しく対応してくれるか
- 痛みに配慮した施術(声かけや麻酔の有無)を行っているか
保険診療・自費診療の説明が明確か
- クリーニング費用が分かりやすく提示されているか
- 必要に応じて、自費診療のオプション(PMTC、エアフローなど)を説明してくれるか
これらのポイントを総合的に判断すると、良いクリーニングを受けられる歯医者を見つけやすくなります。
歯のクリーニングの頻度
一般的には3〜6ヶ月に1回が推奨されています。
ただし、個人の歯肉炎、歯周炎など、口腔状態によって適切な頻度は異なります。
状況 | 推奨される頻度 |
---|---|
健康な歯・歯茎 | 6ヶ月に1回 |
歯石がつきやすい・軽度の歯周病 | 3~4ヶ月に1回 |
歯周病が進行している・虫歯が多い | 1~3ヶ月に1回 |
クリーニングの頻度を決めるポイント
歯周病のリスク | 歯周病がある人は1〜3ヶ月に1回のケアが理想的。 |
歯石の付きやすさ | 歯石が付きやすい人は3〜4ヶ月ごとにクリーニングすると良い。 |
着色汚れのつきやすさ | コーヒー、紅茶、ワイン、タバコをよく摂る人はこまめなクリーニングが必要。 |
矯正治療中・インプラントがある | 矯正中の人やインプラントがある人は、定期的なメンテナンスが必須(3ヶ月に1回が目安)。 |
セルフケアの状況 | 自宅での歯磨きやフロスの習慣がしっかりできている人は6ヶ月に1回でもOK。 |
※あくまで目安になります。歯科医師や歯科衛生士の指導に従うことが大切です。
クリーニングで白くなる場合
歯の表面についた着色汚れ(ステイン)や歯垢・歯石は、歯科医院でのクリーニングで除去できます。
例えば、以下のような原因でついた汚れは、クリーニングで落とせる可能性があります。
- コーヒー
- 紅茶
- ワインなどの飲み物による着色
- タバコのヤニ
- 歯石やプラーク(歯垢)
クリーニングをすると、本来の歯の色に戻るため、「歯が白くなった」と感じることが多いです。
クリーニングでは白くならない場合
歯そのものの色(エナメル質や象牙質の変色)は、クリーニングでは改善できません。
例えば:
- 加齢による黄ばみ
- 遺伝的に黄色っぽい歯
- 神経が死んで黒ずんだ歯
- 抗生物質(テトラサイクリンなど)の影響で変色した歯
- 食べ物、飲み物による歯の全体的な黄ばみ
これらの場合は、ホワイトニング(歯の漂白する処置)が必要になります。
ホワイトニングにも様々な種類がありますので、ご自身に合った方法でホワイトニングを行う必要があります。
クリーニング後に注意すること
・一時的に知覚過敏が起こることがあるので、極端に冷たいアイスや熱い飲み物は控えめにしてください。
・クリーニング後は歯ぐきが敏感になっているため、強く磨かずにクリーニング後は歯ぐきが少しやわらかめの歯ブラシを使うとよいでしょう。
よくある質問(Q&A)
「保険適用のクリーニングはどこまでやってもらえる?」
保険適用のクリーニングは、あくまで歯周病の治療を目的としているため歯石、歯ぐきの腫れ、出血を無くしていくためのスケーリング、SRP、PMTCを行っていきます。
歯周病治療の流れ
1.歯周ポケット検査
クリーニング前に歯ぐきの状態をチェックし、歯周病の進行状況を確認。
2.スケーリング(歯石除去)
歯ぐきの上に付着した歯石やプラーク(歯垢)を専用の器具で取り除く処置。
3.歯周ポケット検査
クリーニング後に歯ぐきの状態を再度チェックし、歯ぐきの状態を確認。
歯ぐきの奥に歯石がある場合はSRPへ移行します。
4.SRP(スケーリングルートプレーニング)(深い歯石除去)
- 歯ぐきの奥深くにある歯石や細菌を取り除く処置。
- 歯周病が進行している場合に実施
さらに歯ぐきの中に歯石等がある場合は、外科処置が必要な場合があります。
5.PMTC(専門的な機械による清掃)
保険診療では、歯周病治療として必要と判断された場合のみ適用。
専用の器具と研磨剤を使って歯の表面を磨く方法です。
歯周病治療のたびに行うことで汚れの再付着を防ぎます。
費用の目安は以下のようになっています。
治療内容 | 費用(3割負担の場合) |
---|---|
スケーリング(歯石除去) | 約 2,000~3,000 円 |
SRP(深い歯石除去) | 1回あたり約 1,500~3,000 円 |
歯周病検査(歯周ポケット測定) | 約 600~1,200 円 |
クリーニング+歯周病治療(数回通院) | 合計 5,000~10,000 円前後 |
※歯の状態や通院回数によって異なります。あくまで目安です
「自費診療のクリーニングを受けるメリットは?」
自費診療のクリーニングでは、保険診療で受けられない審美目的でのケアや予防目的での様々な材料や器具を使った高度なクリーニングを受けることができます。
例えば、エアフローでは、細かいパウダーをジェット噴射することで、歯の表面の着色汚れを落とす方法などを用いることができます。
「ホワイトニングとクリーニングの違いは?」
ホワイトニングは、歯自身の色味を特殊な液で白くする処置です。
一方、クリーニングは歯に付着する歯石や歯垢、着色を落とすことで歯本来の色味を白くすることはできません。
項目 | ホワイトニング | クリーニング |
---|---|---|
目的 | 歯を白くする | 歯の汚れ・歯石を落とし、口内を清潔にする |
対象の汚れ | 歯の内部の黄ばみ (加齢や飲食による変色) | 表面の汚れ・歯垢・歯石・ステイン |
方法 | 薬剤(過酸化水素・過酸化尿素)で歯を漂白 | 専用器具で歯石・歯垢・着色汚れを除去 |
効果 | 歯の色そのものを白くする | 歯の本来の色を維持する |
保険適用 | ✕(自由診療) | ○(条件付きで保険適用) |
費用 | 1回 20,000~50,000円(医院による) | 1回 2,000~3,000円(保険適用の場合) |
施術頻度 | 6ヶ月~1年ごとに継続 | 3~6ヶ月に1回が推奨 |
まとめ
歯のクリーニングは、虫歯や歯周病の予防、口臭の軽減、歯の美しさを保つために非常に重要です。
健康な人は半年に1回、歯周病のリスクが高い人は3ヶ月ごとのクリーニングがおすすめです。
定期的に歯科医院でクリーニングを受けることで、口腔内の健康を維持し、将来的なトラブルや治療費を抑えることができます。
日々のセルフケアと併せて、適切なクリーニングを取り入れましょう。
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