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親知らずの抜歯は何分かかる?抜歯にかかる時間や通院スケジュールを事前にチェックしよう

【この記事の監修歯科医師】

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菅原聖悠 先生 (大倉山すがわら歯科医院 院長)

神奈川歯科大学卒業。
公益社団法人 日本口腔外科学会 認定医。
「再治療のない、丁寧な治療」をモットーに日々情熱を注いでいます。
歯科のお悩みならなんでもご相談ください。

親知らずの抜歯にかかる時間は、親知らずの位置や状態、親知らずがある場所の骨の硬さなどによって異なります。

一般的に、上顎の親知らずは比較的短時間で終わることが多く、5~30分程度かかると考えて良いでしょう。

親知らずの抜歯にかかる時間と注意点

  • 抜歯にかかる時間は親知らずの位置や状態で異なる
    上顎は5~30分程度、下顎の埋伏親知らずは30~120分かかる場合がある。
  • 上顎と下顎で難易度が異なる
    上顎は骨が柔らかく、比較的短時間で終わるが、下顎は骨が硬く難易度が高い。
  • 横向きや埋伏している親知らずは時間がかかる
    骨を削ったり神経を避ける処置が必要になるため。
  • CT検査が治療時間に影響することも
    神経や血管の位置を精査する場合、準備に時間がかかる。
  • 抜歯のスケジュール管理が重要
    初診から抜糸まで平均5回程度の来院が必要で、時間の余裕を持つことが大切。

一方、下顎は骨が硬く、特に埋伏した状態の親知らずの治療には30~120分以上かかることもあります。

また、CT検査を行う場合、治療時間がさらに延びることもあります。
抜歯は初診から術後の経過観察、抜糸まで合計5回程度の来院が一般的です。
治療時間は症例によって異なるため、事前にスケジュールを調整し、余裕を持つようにしましょう。

この記事では、親知らずの抜歯にかかる時間や抜歯後の注意点、かかる費用などについて詳しく解説します。

まず知っておきたい!親知らずの抜歯が必要なケースと不要なケース

項目必要なケース不要なケース
生え方横向きや埋伏しており、他の歯に影響を与えるまっすぐ生えており歯磨きが容易
周囲の健康状態虫歯や歯周病の原因となっている健康な歯ぐきに囲まれている
将来的なリスク歯並びや隣接歯に悪影響を及ぼす恐れがある隣接歯への影響がない
痛みの有無痛みや腫れが頻繁に発生する痛みがなく、トラブルがない

実は親知らずは「抜歯が必要があるケース」と「抜歯が不要なケース」があります。

まず「抜歯が必要があるケース」は、親知らずの生え方や親知らず周辺の歯への影響が問題となる場合です。

例えば、横向きや埋伏している親知らずは、隣接歯を圧迫し、虫歯や歯周病のリスクを高めるため抜歯した方が良いでしょう。

また、埋没している親知らずのせいで、口内に痛みや腫れが繰り返される場合も、親知らずを抜歯することをおすすめしています。

親知らずの抜歯が不要なケースは? 気になる人は、まず歯科医さんに相談を!

  1. まっすぐ生えており、歯磨きがしやすい場合
    他の歯と同じように清掃ができる状態。
  2. 健康な歯ぐきに囲まれている場合
    親知らずの周囲に炎症や痛みがなく、歯周組織が健康な場合。
  3. 隣接歯に影響を与えない場合
    隣接する歯を押していない、もしくは噛み合わせに悪影響を及ぼさない位置にある。
  4. 完全に埋まっており、レントゲンで異常がない場合
    骨の中に埋まっていて、嚢胞や腫瘍のリスクが低いと診断される場合。
  5. 痛みや不調が全くない場合
    定期的な診察をしても、現在進行形で問題が発生していない場合。

上記のようなケースは、親知らずの抜歯が必要ないと判断されないことがあります。

例えば、親知らずがまっすぐキレイに生えており、歯磨き時に問題がなく、親知らず周辺の健康状態に問題がない場合は、歯医者さんによっては抜歯が不要だと判断されることがあります。

ただし、これらの条件に該当したとしても、将来的なリスクが完全にゼロではありません。
今は問題ない親知らずでも、将来的には虫歯や歯周病などの原因になることも!

  • 虫歯や歯周病の発生
    歯周ポケットが深くなることで、親知らずや隣接歯が虫歯や歯周病にかかるリスクが高まる。
  • 嚢胞や腫瘍の形成
    完全に埋伏している親知らずが長期間放置されると、嚢胞や腫瘍が形成される可能性がある。
  • 隣接歯への悪影響
    親知らずが押し出されることで、隣接する歯の歯根を傷つけたり、歯並びを乱したりする恐れがある。
  • 骨や神経への影響
    親知らずが神経や骨に近い場合、加齢に伴い抜歯が困難になるリスクが高まる。
  • 慢性的な痛みや炎症
    時折発生する炎症が慢性化し、口腔内の健康を損なう可能性がある。
  • 感染症のリスク
    清掃が難しい位置にある親知らずが感染症を引き起こす場合がある。
  • 抜歯時のリスク増加
    高齢になるほど骨が硬化し、抜歯後の治癒が遅れるリスクが増加する。

仮に親知らずがまっすぐに生えていて問題なく歯磨き出来る状況だったとしても、年齢を重ねるとともに歯周ポケットが深くなり、虫歯や歯周病を引き起こす可能性があります。

また、完全に埋伏している親知らずであっても、長期間放置すると嚢胞(のうほう)や腫瘍が形成されるリスクが高まることが知られています。

さらに、骨や神経に近接する位置にある親知らずは、加齢による骨の硬化や神経の移動に伴い、抜歯がより困難になるケースがあります。

そのため、定期的に歯科医師の診断を受け、リスクを早期に発見して適切な対応を取ることが重要です。

特に、素人判断で「問題がない」と決めつけるのは危険です。
親知らずの状態は時間とともに変化することがあり、放置すると隣接歯の損傷や歯周病の原因になる可能性があります。

親知らずに違和感がある場合や抜歯の必要性に疑問を感じる場合は、専門の歯科医師に相談するようにしてください。

親知らずの抜歯にかかる時間の目安は、どれぐらい?

親知らずの状態抜歯時間の目安特徴
上顎
(まっすぐ生えている場合)
5~15分比較的簡単な抜歯。歯肉や骨を削る作業が少ない。
上顎
(横向きの場合)
15~30分根が曲がっている場合が多く、難易度が上がる。
下顎
(まっすぐ生えている場合)
10~30分骨が硬く、歯肉を切開する場合がある。
下顎
(埋伏している場合)
30~90分骨を削る必要があり、神経への配慮が必要。
下顎
(横向きの場合)
60~120分歯が深く埋まっている場合、CT診断が必須。

親知らずの抜歯時間は、歯の位置や生え方によって大きく異なります。

上顎の親知らずは骨が柔らかく、まっすぐ生えている場合には比較的抜歯が簡単なため短時間で15分程度で終わることが多いです。

一方、下顎の親知らずは骨が硬く、歯の埋まっている位置が深い場合が多く、特に横向きや埋伏している親知らずでは、骨や歯肉を切開する必要があるため、抜歯に30~90分、場合によっては120分以上かかることもあります。

また、CT検査を行い神経や血管への影響を精査する場合もあり、治療時間が延びることもあり、親知らずの抜歯を行う際には時間の余裕を持って来院するようにしましょう。

抜歯には、どれぐらいの時間がかかる?知っておきたい全体のスケジュール

手順内容所要時間(目安)
1. 問診、カウンセリング問診、口腔内診察、レントゲン、手術説明等。30~60分
2. 診断と治療計画の説明必要に応じてCT実施。抜歯のリスクや処置方法を説明。15~30分
3. 抜歯処置麻酔の注射、抜歯手術、縫合などを実施。30~120分(症例により異なる)
4. 術後の確認と指導止血状況の確認、術後ケアの説明。15~30分
5. 経過観察と抜糸術後1週間程度で抜糸と経過確認を実施。15~20分(通院回数に応じて変動)

親知らずの抜歯は、初診から経過観察まで数回にわたり、問診と診察が行われます。

初診では問診と診察を行い、レントゲンやCT撮影などの精密検査が実施されます。
初診の問診は約30~60分を要します。
その後、CT画像を基に治療計画と手術のリスクや処置内容が細かく説明されます。

抜歯処置当日は、麻酔や手術の内容によって異なりますが、抜歯手術には30〜120分程度かかります。

術後1週間前後に抜糸と経過観察が行われますが、この段階は比較的短時間で済む場合が多いです。

親知らずの抜歯に伴う来院スケジュール例

来院回数主な内容所要時間(目安)
1回目: 問診、カウンセリング問診、レントゲン・CT撮影、診断など。30~60分
2回目: 抜歯当日麻酔、抜歯処置、術後の止血確認。30~120分
3回目: 術後チェック炎症や痛みの確認、必要に応じた消毒。15~30分
4回目: 抜糸縫合糸の除去、経過観察。15~20分
追加の来院術後のトラブル(感染症やドライソケット)への対応。15~30分(必要に応じて変動)

親知らずの抜歯に伴う来院スケジュールは、初診から抜糸までの平均5回程度必要です。
なお、難易度の高い抜歯や術後トラブルが発生した場合は、5回以上の来院が必要になることもあります。

この章では、親知らずの抜歯に伴う来院スケジュールについて詳しく解説します。

1. 初診(問診と診察)

初診では、歯科医師が患者の全体的な健康状態を把握するために問診を行います。
その後、口腔内を診察し、親知らずの状態や抜歯の必要性を確認します。
さらに、必要に応じてレントゲンやCT撮影を行い、親知らずの位置や形状、周囲の構造を精査します。

2. 抜歯当日(麻酔と手術)

抜歯当日には、まず麻酔を施します。
その後、歯肉や骨の切開、歯の抜歯手術が行われます。
親知らずの位置や状態によって、手術の手順や方法が異なるため、処置の難易度が変わることがあります。
術後には、止血の確認と縫合が行われ、術後のケアについて説明があります。

3. 術後チェック(炎症や消毒)

抜歯後2~3日後には、術後の経過を確認するための来院する場合もあります。
※ 抜歯まで来院が不要なケースも多い

この際、患部の腫れや炎症、痛みが適切に回復しているかチェックされます。
場合によっては、患部を消毒したり、追加で処置が行われることがあります。

4. 抜糸(経過観察と縫合糸の除去)

術後1週間から10日後に、抜糸が行われます。

この来院では、縫合糸の除去とともに、傷口の回復が順調か、炎症や感染の兆候がないかをチェックします。

抜糸は短時間で済むことが多く、この段階で抜歯後の基本的な治療は終了となります。

5. 追加の診察(トラブル発生時)

治療後にドライソケット※や感染症などの術後トラブルが発生した場合には、追加で来院する必要があります。
この診察では、痛みや炎症を抑えるための処置が行われます。

状況によっては患部に鎮痛剤や抗生物質、抗炎症剤などを含んだ薬剤を充填したり、鎮痛剤が処方されることもあります。

※ドライソケット(乾燥性抜歯窩炎)は、親知らずを抜歯した後に発生することがある術後合併症の一つ。

親知らずの予後を良くするには?抜歯後のトラブルを予防する自宅ケアのコツ

ケアの項目具体的な方法注意点
口内の清潔を保つ食後に軽くうがいをして食べかすを取り除くようにしましょう。強い力でうがいをすると血餅が取れるので避ける。
患部を冷やすガーゼやタオルに包んだ保冷剤で外側から冷やしてください。直接患部に当てないこと。冷やし過ぎに注意。
規則正しい服薬処方された鎮痛剤や抗生物質を指示通りに服用しましょう。自己判断で服用を中断しない。
柔らかい食事スープやヨーグルトなど消化しやすい食べ物を選んで食べましょう。硬い食べ物や刺激物は避ける。
安静に過ごす無理をせず、できるだけ横になって休んでください。運動や飲酒は控える。

親知らずを抜歯した後の自宅ケアでは、まず、口内を清潔に保つことが重要です。
抜歯は食後に軽くうがいをして食べかすを除去してください。

その時には、強い力でうがいをすると血餅(けっぺい)が取れてしまい、抜歯後の患部に細菌が入って「ドライソケット」のリスクが高まるので、なるべく静かにうがいをするようにしてください。

また、患部を冷やすことで腫れや痛みを軽減できますが、保冷剤を直接肌に当てることは避け、タオルなどで包んで気になる部分を冷やしてください(冷やす時間は1回あたり15~20分程度)。

そして、医師から処方された鎮痛剤や抗生物質は、指示通りに服用するようにしましょう。

自己判断で薬を中断すると、感染症が悪化する可能性があります。

抜歯後の食事は、何を食べれば良い?

  • スープ類
  • ヨーグルト
  • おかゆやリゾット
  • ゼリーやプリン
  • 蒸し野菜やマッシュポテト

抜歯後の食事については、硬い食べ物や刺激物を避け、柔らかく消化しやすい食品を選びましょう。

特にスープやヨーグルトなどは食べやすく、患部に負担をかけません。

また、術後は無理をせず安静に過ごすことが大切です。運動や飲酒は、出血や炎症を悪化させる原因になるため控えてください。

抜歯後の禁忌事項は?どんなことに注意が必要

  • 強いうがいをしない
  • 硬い食べ物や刺激物を摂取しない
  • 喫煙を控える
  • アルコールを摂取しない
  • 激しい運動をしない

抜歯後は、患部の回復を助けるために上記の禁忌事項を守るようにしてください。

まず、先にも触れましたが強いうがいは控えましょう。
硬い食べ物や辛いもの、熱い飲み物は患部を刺激し、痛みや出血の原因となることがあるので、控えてください。

喫煙も禁忌事項の一つです。タバコの煙やニコチンは血流を妨げ、治癒を遅らせることが知られています。
タバコと一緒にアルコールの摂取も同様に控えましょう。アルコールによって血行が促進されると、患部の腫れや炎症が悪化してしまう可能性があります。

さらに、激しい運動や重い荷物を持ったりするのも、なるべく控えてください。

親知らずの抜歯における保険適用と自費診療の違い

項目保険適用自費診療
適用範囲虫歯や炎症などの医療的必要がある場合審美的な理由や患者の希望による治療
費用3割負担で3,000~10,000円程度全額負担で10,000~50,000円以上
診断と検査レントゲン撮影、基本的な診察CT撮影や精密検査を含む場合が多い

※ あくまで一般的な情報となります。判断基準に関してはお客様が通われるクリニックへ詳細お問い合わせください。

親知らずの抜歯は、基本的に保険適用で行われます。

保険適用の対象となるのは「虫歯や炎症など医療的に必要とされる場合」です。

親知らずが隣の歯に悪影響を及ぼしたり、炎症や痛みがある場合は、保険診療で治療を受けることができます。

この場合、費用は3割負担となり、比較的安価に済ませることが可能です。

一方で、自費治療になるケースもあります。

それは、患者自身の希望や審美的な理由で抜歯を行う場合です。
親知らずに特に症状がなくても予防的に抜歯を希望したりする場合です(親知らずを抜いて小顔にしたいなど)。
このようなケースでは、保険が適用されず、治療費は全額自己負担となります。自費診療にかかる費用は10,000~50,000円が一般的ですが、治療内容に応じてかかる治療費は異なります。

まとめ

この記事では、親知らずの抜歯に関する重要なポイントを解説させて頂きました。

親知らずの抜歯が必要かどうかは、状態や症状によって異なります。

横浜市港北区にある「大倉山すがわら歯科医院」では、丁寧な診察とわかりやすい説明を行い、最適な治療をご提供しています。

もし、歯の痛みや腫れ、親知らずについて気になることがあれば、大倉山駅から徒歩1分の大倉山すがわら歯科医院に、お気軽にお問合せをください。