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知って安心!小児歯科の基礎から応用まで|子どもの歯を守る歯科医師監修ガイド

【この記事の監修歯科医師】

神奈川歯科大学卒業。
公益社団法人 日本口腔外科学会 認定医。
「再治療のない、丁寧な治療」をモットーに日々情熱を注いでいます。
歯科のお悩みならなんでもご相談ください。
お子さんの笑顔の土台となる健康な歯。「いつから歯磨きを始めるべき?」「乳歯のむし歯は放っておいても大丈夫?」「初めての歯医者さんはいつ?」など、保護者の皆さまの疑問や不安は尽きないものです。この記事では、現役の歯科医師が子どもの歯の発達段階に合わせたケア方法から、歯医者選びのポイント、最新治療法まで徹底解説します。正しい知識と適切なケアで、お子さんの一生の財産となる健康な歯を守りましょう。
子どもの歯はこう育つ!年齢別でわかる発達と正しいケア方法
赤ちゃんの初めての歯が生えたら?0〜3歳の歯のケアのポイント
赤ちゃんの歯が生え始めるのは、一般的に生後6カ月ごろからになります。(個人差があります)
最初の歯が生える前から、適切なケアを始めることが大切です。
ここでは、0〜3歳の歯のケアのポイントを解説します。
1. 歯が生える前(0〜6カ月ごろ)
口の中を清潔に保つ
- 授乳後やミルクの後に、ガーゼや清潔な布で歯ぐきを優しく拭いてください
- 口の中を触ることに慣れさせることで、歯磨きへの移行がスムーズになります
2. 初めての歯が生えたら(6カ月ごろ〜1歳)
歯みがきを始める
- 小さめのシリコンブラシやガーゼでやさしく拭いてください
- 歯磨き粉は不要。まずは「歯ブラシに慣れること」が大切です
- 前歯が生えたら、歯ブラシを使って1日1回は優しく磨いてください
虫歯になりにくい生活習慣をつける
- 授乳やミルクの後に水を飲ませる(お口の中を清潔にしましょう)
- 夜間授乳や寝る前のミルクに注意してください(口の中に糖が残りやすいため)
3. 奥歯が生えてきたら(1歳半〜3歳)
仕上げ磨きを習慣にする
- 子どもが自分で歯ブラシを持つ練習をしつつ、仕上げ磨きを大人が行いましょう
- 1日2回(朝・夜)以上の歯磨きを習慣化させてください
- 歯ブラシはヘッドが小さく、やわらかいものを選んでください
歯みがき粉を使い始める(フッ素入り)
- 1歳半ごろから、フッ素入り歯みがき粉を少量(米粒程度)使用可
- うがいができるようになったら、少しずつ増やしてください(3歳ごろから5mm程度)
甘いおやつやジュースに注意
- 糖分の多い飲み物やおやつをダラダラ食べるのを避けましょう
- おやつは時間を決めて与え、水やお茶を飲む習慣をつけましょう
乳歯が揃う4〜6歳の時期、これだけは押さえたい!歯医者さんの指導法
4〜6歳の乳歯が揃う時期は、永久歯への準備期間です。
この時期の歯のケアをしっかり行うことで、虫歯を防ぎ、きれいな歯並びを育てることができます。
歯医者さんが指導する「これだけは押さえたいポイント」を紹介します。
1. 仕上げ磨きを続ける
自分で磨けるようになっても、必ず大人が仕上げ磨きをしてください。
特に奥歯のかみ合う部分、歯と歯の間は汚れが残りやすいのでしっかりチェックしてください。
歯みがきは1日2回(朝・夜)、夜は特に丁寧にしましょう。
2. フッ素を活用する
普段の歯磨きでは、フッ素入り歯みがき粉を使うことをおすすめします。(子ども用・年齢に合った濃度を選ぶ)
普段の歯磨きに加え、歯科医院での定期検診・フッ素塗布を3〜6カ月ごとに受けると効果的です。
3. 歯並びを悪くするクセを防ぐ
指しゃぶりや舌で歯を押すクセがある場合は、歯並びに大きく影響します。
お口の力が抜け、ポカンと開いている場合、口呼吸が疑われます。
口呼吸の場合、歯並びに影響するだけでなく、虫歯や歯肉炎のリスクも高くなります。
鼻呼吸の習慣をつけてください。
歯並びに影響してくる前に早めの受診をおすすめします。
4. 歯と歯の間のケアを始める
奥歯が生えそろったら、デンタルフロスを取り入れてください。
特に「歯と歯の間」に汚れが溜まりやすく、虫歯リスクが高いので念入りに掃除してください。
子ども用の持ち手付きフロスを使うと簡単です。
週1回から始め、徐々に習慣化していきましょう。
5. おやつの時間と種類に気をつける
ダラダラ食べを防ぎ、「時間を決めて」食べましょう。
糖分の多いジュースやお菓子を控え、なるべく水・お茶を飲みましょう。
歯にくっつきやすいキャラメルやグミより、噛むおやつ(ナッツ・せんべいなど)を選んでください。
「おやつ=おやつの時間」だけと決めると、虫歯リスクを減らすことができます。
6. 定期的に歯科検診を受ける(3〜6カ月ごと)
虫歯がなくても、歯並びや噛み合わせのチェックも含め、定期的に歯科医院でチェックしてもらってください。
歯医者を「楽しい場所」にしておくと、将来も通いやすいです。
「歯医者=怖い」にならないように、ポジティブな声かけをお家でもしてみてください。
小学生のむし歯リスクはここが違う!混合歯列期の注意点
乳歯から永久歯へ生え変わるこの時期、むし歯になりやすいポイントが変わります。
6〜12歳の小学生は、乳歯と永久歯が混在する「混合歯列期」にあたります。
この時期はむし歯のリスクが高く、適切なケアが不可欠です。
むし歯になりやすい理由
- 生えたての永久歯は弱い
永久歯のエナメル質は生えたばかりの頃は未成熟で、むし歯になりやすいです。
特に「6歳臼歯(第一大臼歯)」は奥にあり、汚れがたまりやすいので注意が必要です。
- 歯並びがデコボコで磨きにくい
乳歯が抜ける前後は歯がグラグラし磨きづらく、磨き残しが増えがちです。
また、永久歯と乳歯では大きさが違うため磨きづらいです。
小学生になると「自分で磨く」習慣がつきますが、奥歯や歯と歯の間は磨き残しが多くなります。
仕上げ磨きは「小学校低学年までは継続」し、高学年でもときどきチェックが必要です。
- 食生活の変化する
おやつの回数・種類が増える(スナック菓子・ジュース・飴など)ことで虫歯のリスクが上がってしまいます。
学校や習い事で歯磨きの回数が減ることも原因の一つになります。
「そろそろ歯医者に?」子どもの歯のSOSサインと対処法
「歯並びが気になる…」歯科医師が見る要注意サインとベストタイミング
「子どもの歯並び、大丈夫かな?」と気になったら、早めのチェックが大切です。
歯並びは成長とともに変化するため、適切なタイミングで専門家に相談することが重要です。
以下のサインが見られたら、早めに歯科医師に相談してください。
1. 叢生(そうせい)
叢生とは、歯が重なったりねじれたりして、歯並びがデコボコ・ガタガタになっている状態のことを言います。
八重歯や乱ぐい歯とも呼ばれ、日本人に最も多い不正咬合です。
また、顎が小さいと、歯が正しく並ぶスペースが不足して叢生になりやすいです。
2. 出っ歯・上顎前突(じょうがくぜんとつ)
上顎前突とは、通称「出っ歯」と呼ばれている歯並びのことです。奥歯でかんだ時に上の前歯が前方に出ており、唇が閉じられない、唇を閉じるとあごの先端に梅干しのようなシワができる、といった状態になります。
指しゃぶりや舌で前歯を押す癖がある場合見受けられる可能性が高いです。
出っ歯は前歯が折れやすいため、スポーツ時など注意が必要です。
舌や口のクセを直すトレーニングで改善できる場合もあります。
3. 受け口・反対咬合(はんたいこうごう)
噛んだ時に下の前歯が上の歯より前に出る歯並びのことを言います。
家族に「受け口」の人がいる(遺伝の可能性)などが考えられます。
受け口は早めの治療が効果的です(3〜5歳頃に改善できることも)。
顎の成長バランスが関係するため、定期的なチェックが重要になります。
4. 開咬(かいこう)
上下の前歯の間にすき間があり、閉じても上下の歯に隙間ができる歯並びのことを言います。
指しゃぶり、舌を前に出すクセ、口呼吸の方によくみられます。
食べ物をしっかり噛めない、発音が不明瞭になることもあります。
悪いクセを改善することで、自然に治ることもあります。
5. 交叉咬合(こうさこうごう)
片方だけ上下の歯の噛み合わせがズレている歯並びのことを言います。
正しい歯の接触が確保されないため、痛みやむし歯、歯周病のリスクが高くなってしまいます。
顎関節症のリスクもあるため、早めの相談が必要です。
「初めての歯科検診」ベストな時期とその理由とは?
初めての歯科検診は「1歳ごろ」をおすすめしています。
一般的に、「1歳6カ月健診」で歯科検診を受けることが多いですが、できれば1歳ごろに1度受けるのが理想的です。
理由①:最初の乳歯が生えそろう時期だから
生後6カ月〜9カ月で最初の歯(下の前歯)が生え始め、1歳ごろには上下の前歯が4本ずつ生えることが多い
理由②:むし歯予防は早いほど効果的
乳歯は永久歯よりもエナメル質が薄く、むし歯になりやすいので、早めに検診を受けて、むし歯のリスクをチェックしてもらうことが大切です。
理由③:食事の変化があるタイミング
1歳前後から離乳食が完了し、食事の種類が増える時期なので、「食べ方」や「飲み方」がむし歯リスクに影響するため注意が必要です。
理由④:歯みがき習慣をスムーズに定着させるため
1歳ごろから歯みがきを本格的に始める時期になるので、「正しい磨き方」「仕上げ磨きのコツ」などを早めに指導してもらうと、習慣化しやすくなります。
「何か月ごとに検診すべき?」年齢別・リスク別の来院ガイド
歯科検診は、年齢やむし歯リスクに応じて適切な頻度で受けることが大切です。
ここでは、年齢別・リスク別のおすすめ来院スケジュールを紹介します。
乳幼児期(0〜3歳)
推奨頻度: 3〜6カ月ごと
歯科医院に慣れることや歯の状態、習慣や食生活などからお子様にあった磨き方などを教わりましょう。
その後、3〜6カ月ごとに定期検診を受けましょう。(むし歯チェック・歯みがき指導)
リスクが高い場合(家族にむし歯が多い・おやつやジュースが多い)は、3カ月ごとに受診し、フッ素塗布をこまめに行うのがおすすめです。
幼児期(3〜6歳)
推奨頻度: 3〜6カ月ごと
奥歯が生え始める時期なので、しっかり仕上げ磨きをしてください。
フッ素塗布やシーラント(奥歯の溝を埋める処置)を検討しましょう。
3〜6カ月ごとに定期検診を受けましょう。(むし歯チェック・歯みがき指導)
小学生(6〜12歳)
推奨頻度: 3〜6カ月ごと
6歳臼歯(第一大臼歯)が生えたら、特にむし歯に注意しましょう。
自分で磨けるようになってきますが、知らず知らずの内にむし歯が進行している場合がありますので低学年のうちは毎日の仕上げ磨き、高学年になりましたら週に1度でもいいのでお口のチェックを行うようにしましょう。
フッ素入り歯みがき粉&フロスの習慣化をしてください。
定期検診を行い、歯並びや噛み合わせのチェックも合わせて確認してもらいましょう。
中学生〜高校生(12〜18歳)
推奨頻度: 3〜6カ月ごと(最低年2回)
食事や間食のタイミングによってむし歯、歯肉炎のリスクが高くなります。
歯ブラシのやり方も自己流になりがちですので、歯科医院に定期的に来院し正しい歯ブラシの方法を確認しましょう。
大人(18歳以上)
推奨頻度:3〜 6カ月ごと(最低年2回)
むし歯・歯周病チェックを定期的に確認することが大切です。親知らずの状態も定期的に確認する必要があります。
歯ぐきの状態が安定している場合は6ヶ月ごとの定期検診で問題ありませんが、歯ぐきの腫れが目立つ場合、むし歯になりやすい場合は3ヶ月ごとの来院をおすすめします。
早めの受診で解決!実際にあった驚きの改善事例
子どもの歯の健康は、将来の歯並びや噛み合わせ、全身の健康にも影響を与えます。
「まだ大丈夫」と思って放置していたら、思わぬトラブルになる場合があります。
今回は、小児歯科を早めに受診することで改善した実際のケースをご紹介します。
① 2歳なのに前歯がボロボロ
ケース:2歳の男の子(母親がむし歯に気づいて受診)
症状:最初は前歯が白く濁っていたがその後、黒く変色しはじめた。痛みはなさそう。
診断:哺乳瓶むし歯(上の前歯にできるむし歯)
歯科医の対応: 初期のむし歯(白濁しているところ)はフッ素塗布で進行を防ぐ。進行した部分は白い詰め物(コンポジットレジン)で修復。寝る前のジュース・ミルクをやめる指導歯ブラシのやり方を指導。その後、3ヶ月ごとの定期検診を行った。
改善結果:早期発見で歯を抜歯することを回避。生活習慣を見直し、3歳時点で新たなむし歯ゼロをキープ。早めに気づけたことで歯ブラシの習慣を見直すことができた。
② 6歳なのに大人の歯が生えてこない
ケース:6歳の女の子(前歯がなかなか抜けず、永久歯が生えてこない)
症状:乳歯の前歯がグラグラしているのに抜けない
診断:乳歯の根がうまく吸収されず、永久歯が生えにくくなっていた
歯科医の対応:レントゲンで乳歯の根を確認し、麻酔をして抜歯。永久歯が生えやすいようにスペースを確保。
改善結果:1か月後、スムーズに永久歯が生えはじめ歯並びも問題なし
③ 5歳男の子、上の前歯が出てきた気がする
ケース:5歳の男の子(歯並びの相談で来院)
症状:上の前歯が前に出ている(出っ歯)
診断:生活習慣をヒアリングしたところ、指しゃぶりの影響で上の前歯が前に傾いている可能性が高いことがわかった。
歯科医の対応:指しゃぶりをやめるためのトレーニング。マウスピース型の装置(プレオルソ)を装着。
改善結果:半年で指しゃぶりを卒業し、1年後、前歯の角度が正常に戻り、自然な歯並びに改善した。
失敗しない!子どものための歯医者選び
小児歯科専門医と一般歯科、どっちがいい?それぞれのメリット
子どもの歯科治療を受ける際、小児歯科専門医と一般歯科のどちらがよいか迷うことがありますよね。それぞれのメリットを比較してみましょう。
小児歯科専門医のメリット
- 子どもへの対応に慣れているため、子どもの成長に応じた治療や声かけができる。
- 子どもの歯の専門知識が豊富なため、乳歯や生え変わりの管理、虫歯予防、矯正の相談もスムーズに行うことができる。
- 痛みや恐怖心を和らげる工夫が多い、 遊びながら治療できる設備や、映画を観ながら治療できる場所がある。優しい対応で子どもが怖がりにくい。
- 成長を見越した治療計画ができるため、 将来の歯並びや噛み合わせを考慮した診察ができる。
一般歯科のメリット
- 大人から子供まで全員診ることができるため、家族みんなで通いやすい 。
親の診療と一緒に受けられることが多い。
- 小児歯科専門医は数が少ないが、一般歯科は比較的どこにでもあるため自分にあった歯科医院を探しやすい。
- 大人の歯が生えた後も継続して診てもらえるため、 かかりつけ医として一生付き合える。
小児歯科専門医も一般歯科医もそれぞれにメリットがありますので、その時の状態にあった来院をおすすめします。
子どもの笑顔を守る歯医者の条件、医師が本音で語ります
子どもの歯科治療は、単に虫歯を治すだけではありません。
歯医者での経験が、その子の「歯医者嫌い」を決めてしまうこともあります。
では、子どもの笑顔を守るために、どんな歯医者を選べばいいのでしょうか?
現場の歯科医師が本音で語るポイントを紹介します。
① 子どもの気持ちを最優先にする歯医者
泣いても叱らない、無理やり治療しない
歯医者を怖がる子どもに対して、いきなり押さえつけて治療するのは逆効果。「少しずつ慣れる」「まずはお話や練習から」といったアプローチをしてくれる歯医者が理想です。
遊びながら学べる工夫がある
待合室におもちゃがあるだけでなく、歯磨き指導を楽しくできるかどうかも大切。
歯磨きが「やらされるもの」ではなく「楽しい習慣」になるような指導をしてくれる歯医者がベストです。
② 痛みや怖さを最小限に抑える治療
麻酔が上手で、痛みを感じさせない
「チクっとするよ」と言われるだけで怖くなる子も。
麻酔の前に表面麻酔を使ったり、極細の針を使用するなど、できるだけ痛みを抑える工夫ができます。
「できたね!」と褒めるのが上手
子どもは歯医者での成功体験が自信につながります。
「お口開けられたね!」「バイキンやっつけたね!」と前向きな言葉がけができる歯医者は、子どもにとって通いやすい存在になります。
③ 予防を大切にする歯医者
「治療」より「予防」を重視
痛くなってからではなく、虫歯を防ぐためのアドバイスをしっかりしてくれる歯医者が信頼できます。
フッ素塗布やシーラント処置を積極的に勧めてくれるかもチェックしてください。
家庭でのケアを教えてくれる
ただ「歯磨きを頑張って」と言うだけではなく、「仕上げ磨きのコツ」「おやつの選び方」など具体的なアドバイスをしてくれるかも重要です。
④ 子どもが通いたくなる雰囲気
スタッフ全員が子どもに優しい
医師だけでなく、受付や歯科衛生士も子どもに親しみやすい対応をしているかどうかが大切です。
痛くない!怖くない!最新の小児歯科治療とは
むし歯予防の決定版、最新フッ素治療の効果と安全性
むし歯予防といえばフッ素。今では最新のフッ素治療が進化し、より効果的に歯を強くする方法が増えています。
「本当に安全?」「どんな効果があるの?」と気になる方のために、最新のフッ素治療の効果と安全性について解説します。
〈フッ素治療の基本効果〉
フッ素には、歯をむし歯から守る3つの大きな効果があります。
① 再石灰化を促進
→ 歯の表面(エナメル質)を強くし、むし歯の初期段階なら自然に修復できます
② 酸に強い歯を作る
→ フッ素が歯に取り込まれると、むし歯菌の酸に溶けにくい歯質に変化します
③ むし歯菌の活動を抑える
→ むし歯の原因菌の働きを弱め、酸の生成を抑えます
〈最新フッ素治療の種類〉
・フッ化ナトリウム(NaF)最もスタンダードなフッ素で、歯の表面を強くする効果があります。
・フッ化第一スズ(SnF2)スズイオンにより高い殺菌効果があり、虫歯予防に加え歯周病予防効果があります。
・モノフルオロリン酸ナトリウム(MFP)歯の深部まで浸透し、再石灰化を促進する効果があります。
〈フッ素の用途〉
歯磨き粉や洗口液に添加されています。
歯科医院でフッ素塗布として使用されています。
〈フッ素の摂取量と注意〉
フッ素の効き目は濃度にも関係しており、1,000ppmF以上の濃度で効果が得やすいと言われています。過剰に摂取すると気持ち悪くなったり嘔吐したり、歯のフッ素症などの悪影響が出る可能性があります。
・歯が生えてから2歳までの場合は900~1,000ppmFの歯磨き粉を使用します
・3歳から5歳までの場合はグリーンピース程度の大きさ(5mm程度)を使用します
・6歳から成人・高齢者では1,400~1,500ppmFの歯磨き粉を使用します
〈フッ素の安全性は?〉
「フッ素は体に悪い?」という不安の声もありますが、適切な量を使用すれば安全です。
世界保健機関(WHO)や日本小児歯科学会でもフッ素のむし歯予防効果と安全性を認めています。
安全に使うためのポイント
・子ども(6歳未満)の歯磨き粉は500~1000ppmを使用(飲み込まないよう少量を使用)
・6歳以上は1450ppmのフッ素入り歯磨き粉を活用
・うがいができない子はガーゼで軽く拭き取る
※ 大量に摂取すると「フッ素症(歯の白い斑点など)」のリスクがあるため、適量を守ることが大切です。
※フッ素を塗ってほしくないという場合は、しっかりと先生に伝えましょう!
「削らない・痛くない」子ども向け最新虫歯治療の実態
従来は「むし歯 = 削って詰める」が基本でしたが、歯の再生力(再石灰化)を利用する治療が進化し、軽度のむし歯なら削らなくても治せる時代になっています。
ポイントは「むし歯の進行を止める」+「歯を強くする」
むし歯の進行を防ぎながら、歯を削らずに自然治癒を促す方法が注目されています。
知っておきたい!子どもの歯並び矯正、本当に必要?いつから始める?
「様子見?早めの治療?」矯正のタイミングを見極めるポイント
子どもの歯並びが気になるけれど、「このまま様子を見るべき?」「早めに矯正したほうがいい?」と迷うことはありませんか?
矯正のタイミングは、お子さんの成長や歯並びの状態によって異なります。
今回は、適切なタイミングを見極めるポイントを解説します。
矯正治療を考え始めるタイミング
矯正は 「いつでも始められる」わけではなく、適切な時期がある ため、成長の過程を見極めることが重要です。
矯正を検討すべきサイン
以下のような症状がある場合は、歯科医院での相談をおすすめします。
- 前歯のガタガタが目立つ(叢生・乱ぐい歯)
- 前歯が前に出ている(出っ歯・上顎前突)
- 下の歯が前に出ている(受け口・反対咬合)
- 奥歯でしっかり噛めない(開咬・交叉咬合)
- 乳歯が抜けたのに、なかなか永久歯が生えてこない
- 口呼吸が多い、舌の癖(舌を前に押し出すなど)がある
矯正を始めるベストなタイミング
矯正治療のタイミングは 「早期治療(Ⅰ期)」と「本格治療(Ⅱ期)」 に分かれます。
① 早期治療(Ⅰ期矯正):5〜10歳頃
乳歯と永久歯が混在する時期(混合歯列期) に行う治療。
目的:顎の成長をコントロールし、歯が並ぶスペースを確保する
出っ歯や受け口など、骨格のズレを改善
噛み合わせの悪さを早めに修正したい適したケース
受け口(反対咬合) → 早めの介入が大切
出っ歯(上顎前突) → 転倒時の前歯破損リスクを軽減
歯のガタガタがひどい → 顎の成長を利用してスペースを確保
指しゃぶり・舌癖・口呼吸などがある → 矯正と合わせて習慣改善が必要
装置の種類:床矯正(取り外し式の拡大装置)
- マウスピース型矯正
- 部分的なワイヤー矯正
- ヘッドギアや顎の成長をコントロールする装置
メリット・デメリット:成長を活かせるため、抜歯のリスクが減る
矯正が必要な場合、本格治療の期間が短くなる
必ずしも本格矯正が不要になるわけではない
② 本格治療(Ⅱ期矯正):12歳頃〜(永久歯が生え揃ってから)
永久歯が生え揃った後の本格的な矯正
目的:
永久歯の歯並びをしっかり整える
噛み合わせを最適な状態に調整する
適したケース
永久歯の歯並びが乱れている
顎のズレが強い(Ⅰ期矯正で改善しなかった場合)
過去にⅠ期矯正を受けなかったが、歯並びを整えたい
装置の種類:
ワイヤー矯正(ブラケット装置)
マウスピース矯正(インビザラインなど)
メリット・デメリット:
仕上がりが綺麗になる
大人の矯正よりも歯が動きやすい
Ⅰ期矯正よりも治療期間が長くなる可能性がある
その時どうする?子どもの歯の緊急事態対応マニュアル
歯が抜けた!折れた!歯の外傷と正しい対応法
子どもは遊びやスポーツ中に転んで歯をぶつけることがよくあります。
「抜けた!」「折れた!」とパニックになるかもしれませんが、正しい対応をすれば歯を救える可能性が高いです。
今回は、歯の外傷ケースと、そのときの正しい対応法をご紹介します。
- 歯の脱臼(歯が大きくグラグラしているが抜けたり折れたりしていない)
触らず、すぐに歯医者へ行きましょう。出血などがある場合は、ハンカチやガーゼなどで軽く抑えましょう。
歯科医院で固定し、動揺が落ち着いたら固定を除去します。元通りになることもありますが、神経が死んでしまった場合は、根管治療が必要になります。
- 永久歯の脱臼(歯が完全に抜けること)
歯が抜けてしまった場合大切なことは、 抜けた歯を乾燥させないことです。(乾くと再植が難しくなる)歯を優しく拾い水などで洗わず保存しましょう。
歯の保存方法(優先順位)
1. 歯の保存液(病院によくある)に入れる
2.牛乳に浸ける(歯の細胞が生きやすい)
3. 口の中(頬の内側)に入れる(飲み込まないよう注意!)
水で保存すると、逆に歯の細胞が脱水してしまい、再接着の成功率が下がる可能性があるため、避けましょう。できるだけ早く(1時間以内)歯科医院へ受診する必要があります。
3. 歯冠破折・歯根破折
歯のどの部分が破折してしまっているかによって対応法が変わります。
①歯冠破折(神経までは達していない場合)
②歯冠破折(神経まで達している場合)
③歯根破折(歯根部分まで達している場合)
対応法:
①歯冠の一部破折であれば、詰め物や被せ物で修復します。
②歯管の破折で神経まで折れている時は、神経の処置が必要。その後、被せ物で修復します。
③歯根まで達する破折の場合は、神経の処置や被せ物で修復する場合、最悪抜歯を行う必要があることも。
4.口腔粘膜の出血・腫れ
唇、頬、歯ぐきからの出血、腫れ、裂傷がある場合は、まずハンカチやガーゼで止血を行い歯科医院へ受診しましょう。
裂傷が大きければ縫合を行いますが、傷が大きくなければ消毒を行い経過観察を行っていきます。
痛みや腫れが急に出たら?家庭でできる応急処置と受診の目安
歯の痛みや腫れが急に出た場合、原因によって適切な応急処置を行い、必要に応じて歯科を受診しましょう。
家庭でできる応急処置
1. 口を清潔に保つ
やさしく歯磨きし、歯と歯ぐきの汚れを取り除く
ぬるま湯や食塩水(コップ1杯の水に塩小さじ1)で軽く口をすすぐ
2. 痛み止めの使用(痛みが強い場合)
市販の鎮痛薬(ロキソニン、イブプロフェン、アセトアミノフェンなど)を服用
歯科用の鎮痛ジェル(市販のベンゾカイン配合のもの)を使用するのも可
3. 刺激を避ける
熱い・冷たい・甘い食べ物や飲み物を控える
強く噛む食べ物(硬いものや粘着性のあるもの)は避ける
すぐに歯科を受診すべきケース
- 激しい痛みがあり、鎮痛薬が効かない(神経の炎症・膿がたまっている、歯の破折可能性)
- 顔まで腫れている、または発熱がある(歯の感染症が進行している可能性)
- 歯ぐきから膿が出る、腫れがどんどん広がる(歯周病や膿瘍の可能性)
- 歯がグラグラしている、抜けそう(外傷や歯周病の進行)
- 親知らずのまわりが腫れて痛い(智歯周囲炎の可能性)
早めに受診したほうがいいケース(翌日~数日以内)
- 噛むと痛むが、強い腫れはない(虫歯や噛み合わせの問題)
- 冷たいものや甘いものでしみる(知覚過敏や初期虫歯)
- 詰め物や被せ物が取れた、欠けた(放置すると悪化する可能性あり)
歯の痛みは自然に治ることが少ないため、応急処置をしても症状が続く場合は、できるだけ早く歯科を受診しましょう。
知っておくと得する!小児歯科の費用と保険のかしこい利用法
何にいくら?小児歯科診療の費用相場と保険でカバーできる範囲
子どもの歯の治療や矯正を考えるとき、「費用はどれくらいかかるの?」と気になりますよね。
小児歯科の診療費は 保険適用か自由診療かによって大きく異なります。
今回は、治療ごとの 費用相場 や 保険でカバーできる範囲 を詳しく解説します。
保険適用される治療(負担額:0~3割)
治療内容 | 費用相場 |
初診料 | 多くの自治体で医療費助成があり、自己負担なしもしくは少額で受けられる 場合が多いです。 |
レントゲン撮影(検査・診療) | |
虫歯治療(軽度の詰め物) | |
虫歯治療(神経治療を伴う) | |
フッ素塗布 | |
シーラント | |
乳歯の抜歯など |
自由診療(全額自己負担)
小児矯正(歯並び・噛み合わせの治療)
矯正の種類 | 費用相場(全額負担) |
矯正相談 | 無料〜5000円 |
精密検査・診断料 | 20,000〜50,000円 |
Ⅰ期矯正(6〜10歳頃) | 300,000円〜500,000円 |
Ⅱ期矯正(12歳頃〜大人) | 500,000円〜1,000,000円 |
部分矯正 | 50,000円〜300,000円 |
マウスピース矯正(インビザライン) | 400,000円〜1,000,000円 |
保定装置(リテーナー) | 30,000〜100,000円 |
保険適用される場合
重度の受け口(反対咬合)など、外科的矯正が必要なケース では、 保険適用(約3割負担) になることがあります。
小児用マウスピース(歯ぎしり・スポーツ用)
治療内容 | 費用相場 |
---|---|
歯ぎしり防止用マウスピース | 5,000円〜20,000円 |
スポーツ用マウスピース | 10,000円〜30,000円 |
歯ぎしりによる顎関節症などが認められた場合、保険適用になることも。
長い目で見て得する!予防処置にかける費用のメリット
「虫歯になったら治せばいい」と思っていませんか?実は予防処置にかける費用は、将来的に 高額な治療費を節約 する大きなメリットがあります。
「虫歯になってから治療する」と、治療費や通院回数が増え、負担が大きくなります。例えば、 1本の虫歯を放置すると、最終的に数十万円かかることもあります。予防に年間数千円かけることで、将来の高額治療を回避できます。特に子どもの歯は弱いため、定期的なケアが必須になります。
予防処置に投資するメリット
1. 将来的な医療費を大幅にカット
虫歯や歯周病を防ぐことで 高額な矯正・インプラント・入れ歯のリスクを軽減 できます。
2. 痛みやストレスが少なく、子どもが歯医者嫌いにならない
虫歯治療は痛みを伴いますが、予防処置は痛みがないため、 歯医者への恐怖心がなくなる というメリットもあります。
3. 大人になっても健康な歯をキープできる
予防習慣が身につくと、大人になっても虫歯や歯周病に悩まされずに済みます。
小児歯科に関するよくある質問 Q&A
乳歯のむし歯は放っておいても大丈夫?
乳歯のむし歯を放っておくのはよくありません!
「どうせ抜けるから大丈夫」と思われがちですが、乳歯のむし歯は永久歯や口の健康に悪影響を及ぼすことがあります。
乳歯のむし歯を放置すると…
- 永久歯に悪影響を与える
乳歯の根の下には、次に生えてくる永久歯が待機しています。
乳歯のむし歯が進行すると、炎症や細菌が広がり、永久歯が弱くなったり、変色・形が歪になったりすることがあります。
- 歯並びや噛み合わせが悪くなる
むし歯で乳歯が早く抜けると、隣の歯が移動してしまい、歯が生えるスペースが無くなり永久歯が正しい位置に生えにくくなります。
結果として歯並びが悪くなる原因になります。
- 痛みや食事の影響
むし歯が進行すると痛みが出て、食事がうまくできなくなったり、偏食につながったりすることがあります。これは栄養バランスの乱れにもつながります。
- むし歯が広がるリスク
乳歯のむし歯が進むと、口の中のむし歯菌が増えてしまい、他の歯(乳歯・永久 歯)にもむし歯ができやすくなります。
フッ素は安全?
フッ素は適切に使えば安全で、むし歯予防に効果的です。
世界中の歯科医療機関(WHO・日本歯科医師会など)も、フッ素の適量使用は安全だと推奨しています。
フッ素の安全性について
- 適切な量を守れば体に害はない
フッ素は自然界の水や食べ物(お茶・魚など)にも含まれています。
日常的に使う歯磨き粉やフッ素塗布の量なら、健康への影響は心配ありません。
- 世界的にむし歯予防の効果が認められている
フッ素入り歯磨き粉を使うことで、むし歯リスクを40〜50%減らせるといわれています。
- フッ素の過剰摂取には注意(特に子ども)
6歳未満の子どもがフッ素を大量に飲み込むと、「歯のフッ素症(エナメル質に白い斑点ができる)」のリスクがあります。ただし、適切な量を守れば問題ありません。
シーラントって何?
シーラントとは、むし歯になりやすい奥歯の溝を埋める予防処置のことです。奥歯の噛む面には深い溝があり、そこに食べかすや汚れがたまりやすく、むし歯の原因になります。
特に生えたばかりの永久歯(6歳臼歯など)は、歯質が弱く、むし歯になりやすいので、シーラントで溝を埋めて守ります。
まとめ
お子様のお口の中は、早期のケアと予防が大切です。
定期的な歯科受診と正しい習慣で、子どもの歯を健康に守りましょう。
当院は大倉山駅から徒歩1分でアクセスも良く、実績も豊富です。口腔外科専門医の資格を持った医師が治療を行いますので安心して治療をお受けいただけます。
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